第7話・船上の悪夢

 前回までのあらすじ
 修学旅行に満足できなかったみっつと岩夫は年末に京都旅行を計画。貧乏旅行を愛する岩夫の提案で交通手段は未体験のフェリーに決定し、遂に12月26日に旅行は決行されたのだった。

 地下鉄で札幌駅へ、それからJRで南小樽駅へと移動した2人は、この旅が快調な出足だと過信していた。だが、実際に南小樽の改札を出て、21時過ぎの静まり返った町並みを見渡し、埠頭への移動に不安を募らせた。
 みっつ 「い、岩夫君。埠頭まで、どう行けばよいのかな?」
 岩夫 「この地図によると、こっちに歩いて行けばいいみたいだよ。」
 どうやら、道は想像以上に単純らしい。歩き始めた2人は、駅の近くにあるセブンイレブンでフェリー内で食べる食事を買い込む事にした。貧乏旅行を提唱する岩夫の頭にはフェリー内のレストランを利用するつもりは全く無いらしい。
 岩夫 「みっつ君は、何を買うんだい?」
 みっつ 「日本人は米でしょう!って、事で弁当にします。」
 岩夫 「俺はパンとおにぎりにしたよ。」
 食料も買えたので、埠頭へと再び移動を開始した2人が歩いていると眼前に巨大なフェリーが出現した。
 みっつ 「デカイね~!これに乗るんだよな!?」
 岩夫 「そうみたいだね。じゃあ、登場手続きしに行こうか。」
 受付で手続きを済ませた2人は、ロビーのテレビで「ターミネーター2」を見ていた。早め早めに来たので少し時間があったのだった。そんな内に乗船時間を迎えて2人はフェリーへと向かった。年末という事で、かなりの人が乗船するようだった。2人が予約した席は、最も安い二等船室だった。早速、部屋に入った2人だったが、部屋の設備に涙が出そうになった。
 みっつ 「完全な雑魚寝なのね・・・。しかも、枕と毛布が備え付けてるだけとは安いわけだなぁ。」
 岩夫 「こ、ここまでとはね。とりあえず、場所を確保するか。」
 出向の時間が23時半であるから、乗船してまずやることは、就寝の準備である。荷物を降ろした2人も寝ることにした。しばらくして、フェリーが出航し始めたのが、アナウンスと微妙な揺れで分かった。
 当初、この揺れに惑わされそうになったが、しばらくして2人は深い眠りに落ちていった。

 翌日、みっつが目を覚ましたのは11時ごろだった。そろそろ、昼食の時間だが、とても食べる気にはなれなかった。先に起きていた岩夫と船内の散策に行った。パンフレットで見ていた施設を確かめる意味でも色々と見たが、レンタルビデオは高くて作品も微妙なので回避した。ゲームセンターは麻雀(この当時、みっつはルールを知らない)や「ぷよぷよ」があったが、とてもプレイする気にはならなかった。仕方ないので、岩夫と卓球をやる事にした。だが、
 みっつ 「無茶苦茶、揺れるんだけど!」
 岩夫 「サーブが入らないよ!」
 このように揺れが激しすぎて、卓球など出来る環境ではなかった。結局は寝室に戻り、諦めて寝ることにした。みっつが次に起きたのは夕方になってからで、流石に腹が減っていたので船酔いを押して買っていた弁当を無理して食べた。既に賞味期限を切れているので、急いで食べた。その後、やはりやることがなく3度目の堕眠に入ったのだった。
 岩夫 「そろそろ、敦賀だよ~。」
 みっつ 「えっ・・・。マジ?用意するよ。」
 長かった船内生活(正味21時間)を経て、地上に降り立った2人はバスで敦賀駅へと向かいJRに乗り換えて京都駅へと向かった。それからバスで岩夫の従兄弟の家まで移動し、荷物を解いてから明日に備えて寝たのだった。

 という訳で、今回は京都に到着するまでを書きましたが、私は寝てばっかですね(爆笑)まぁ、これが真実ですが・・・。次回は、かの有名な銀閣寺へと2人が赴く、第8話「観光初日・哲学の道で・・・。」をお贈りします~!お楽しみに!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ
           [製作協力] RYO


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